「後ろに眼がついているようです」バレーボールの試合。ネットに背を向けていたセッターが、振り向きざまに、相手コートの隙間を見極めたような見事なフェイントを決める。 もちろん、いかに優秀な選手といえども、眼が後ろについているわけではない。この種の攻撃が得意な元オリンピック代表中田久美選手もあるインタビューで「振り向いたとき、瞬間的にコートを見ている」と語っている。彼女のように、ほんの短い時間見ただけで複雑な状況を知覚する能力を瞬間視と呼んでいる。 これは多くの場合、周辺視野と一緒に働いており、敵と味方が狭いスペースに密集して戦うような競技、バスケットボールやラグビーなどには欠かせないものである。 スポーツ選手の素晴らしい瞬間視は、どこからくるのだろうか。 網膜が捉えた情報は神経を伝わり脳へいく。脳がその情報を処理してはじめて「見た」ことになる。このうち網膜と神経の能力には個人差はあまりないことがわかっている。とすれば問題になるのは脳の情報処理能力である。鍛えるべきは、脳なのだ。 瞬間視はスポーツのように脳のどこかに一時的に保持した情報を基にして、素早く次のアクションを起こすときだけ役に立つものである。
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